秋うらら……出不精誘って「おこげめし」
みゆきちゃん(工藤みゆき)
ランチと言えば、食いしん坊の友だちとのお昼ご飯が浮かんできます。
少し前までは、あらかじめお店を決めずに、その日の食べたい気分をすり合わせて、パスタ、和食、バイキングのお店へ入っていました。
その後、街中をぶらぶら歩き、気に入った小物がみつかったら、自分にご褒美。
若い頃は、おしゃべりが主な目的だったから、長くおしゃべりをしても怒られないお店を探しました。
友だちと「じゃあまたね」と手を振り別れたら、最後に大抵、書店に寄ります。またも、ぐるぐる店内を廻り、料理本や気になる作家の本の何行かをペラペラめくり、裏表紙の解説に眼を通して、装丁は? と見直します。
さて、ランチというお題をいただいて、印象に残っているお店を思い浮かべてみたら、ありました。ありました。満面の笑みで迎えてくれたオーナーさん。店名は、『自休自足』(本店)
“「ほっこり」を届けたい。自分のペースで自分らしく。そんなことを叶える存在。おいしいものを食べる。友だちとのおしゃべりで笑顔の時を。(一部抜粋)”というコンセプト。
石の器を使った石焼きランチで、食べ終わるまで熱々が続きます。以前、訪ねた本店の姉妹店が学生寮を改装して、近所にオープンしていたことを知り、この機会に、出不精の夫をランチに連れ出しました。
姉妹店『六軒村店』
私は、じゃことカリカリ梅のおこげめし、ツレは不動の人気のチーズカレーのセットメニューをそれぞれ頼みました。料理を待っている間にふと横を見ると、昔懐かしい薪ストーブが置かれ、すぐそばに、デレッキ(火搔き棒)やショベルも掛けてあります。(デレッキ)…懐かしい響きだ…と心の中で呟きました。
前日にできた灰を、寒さをこらえて外に捨てに行く。それが、冬の朝の仕事だったなぁと、子供の頃の話などをして待ちます。お好みで選んだカップの内側には、女性写真家、笹本恒子さんの言葉が「あなたへのメッセージよ」といったふうに、印字されています。
今日の私へのメッセージは『何でも良いの。挑戦すれば。』でした。
そうしているうちに、石焼きが届き、良かったらどうぞと添えられた醤油麹をのせて食べ始めます。ご飯が半分位になったら、昆布の出し汁ベースの干し海老スープをかけていただきます。ここから、おこげ茶漬けに変身! ひとつで2度美味しい!!
出し汁の風味が身体に優しく沁みます。お隣りのチーズとカレーのマッチングも変化を楽しめそう。
店員さんが「ストーブに火が点る頃、また来てください」と声をかけてくれました。雪が降る頃に、また来ようと決めて、併設のギャラリーを覗き、帰路に着きました。
利尻島にも、姉妹店があるそうです。訪れた際には足を運んだら、旅の疲れを癒してくれるのではないかと思います。
利尻店『利尻に恋し店』
時間の許す日は、緑に囲まれたカフェに行くことが多くなりました。
大きな木を眺め、この木はここで何を見てきたのだろうとか、風に揺れる草花は、気持ちよさそうだなとか、たわいないことを思いながらのランチです。
7年前に、一戸建に住み始めてから、自分のできる範囲で野菜を植えて、収穫を楽しんでいます。おうち時間が好きになりました。今は、これといった特徴のないわが家の庭。〇〇ガーデンに行くと、なるべく花の名前や性質を覚え、この花は、うちの庭にどうだろうと想像してみます。
それほど真面目でもないので、いつのまにか姿を消している花もあります。ゆっくり試行錯誤を繰り返して、いつかは、自宅の窓から、自分なりのこれはいい眺めだと思える景色を造りたいなぁ。小さな夢です。
ゆったりとした時間に浸かり、自分を休んだら、また新しい一歩を踏み出せる。大げさなようだけれど、そんな気がします。■
・みゆきちゃんからの指名による次回の担当は、ギフです。
コメント
自分を休んだら、また新しい一歩を踏み出せる。いい言葉だね。
私の言葉としてどっかで使おっと。
人間、休むことは大切なことですよね。