野村川湯YH ニッポン漂泊記 | 野村川湯YH 野村川湯ユースホステル

ニッポン漂泊記

ニッポン漂泊記
ここに私があった
オグス(小楠厚子)

還暦を迎えたチャック(前)と、オグス(筆者)。 霧多布岬にて。写真はいずれも2021年9月。

道東への、2泊3日(9月3~5日)の車中泊、道の駅を巡るスタンプラリーの旅から、戻りました。

旅のはじまりは、今から43年前の高校3年生の夏。クラスメートのちとせ(新関睦子)が、ひとりで川湯を訪れ、すっかり野村川湯ユースにハマってしまったことを聞き、それならばと、チャック(高松栄子)と私が、川湯へ行ったこと、でした。

そして還暦を迎えた今年の夏、川湯を訪れ、ヒデキに会ったり、川湯温泉駅舎ギャラリーでは、「自由な旅人」展を見て感激し、あの頃にタイムスリップして来ました。

真夜中の、餅つき

写真を撮る時、「もっとくっついてよ」と、いったら、いきなりダンナさまがチャックの肩を強く抱き寄せたものだから、大笑い。いつも威張ってる妻は、ちょっと照れてるみたい。

チャックと私の家は、車で5分ほどの近所にあり、時々、お茶をしに遊びに行ってます。

そんな折に私が、「今週末、なにすんの?」と尋ねると、「ダンナと道東のスタンプラリー。車中泊で、行くんだよ」と、楽しそうにチャックはいいました。私が、コロナ休業のため、毎日が日曜日ということも知っていて、「……ねえ、あっちゃんも、一緒に行く?」と、気をきかせて誘ってくれたのです。

「うん、行く! 行く!」と、すぐに私は大はしゃぎ。旅はどんな旅だって、興奮します。私はこれまで、たくさんの旅行をしてきました。ところが今回のような道の駅で車中泊しながらの車旅って、……楽しそうだわ! 貧乏だった高校生の頃の私たちに、還ったようだからです。私の血が、踊ってきました。

 

道の駅に泊まってみると、駐車場にはひと夜の安眠を求め、なんとたくさんの道外ナンバーの車が……。神戸、姫路、横浜、品川、盛岡、山形など、全国から押し寄せてました。ひとり旅のおじさん、おじさんと犬、老夫婦など。そこで短い挨拶や何気ない会話が生まれたり、旅の情報交換などすることもありました。でも、もっともっと、コミュニケーションが深まれば、旅の味わいが出るんだろうなぁ、と、考えたりもしました。

いつの間にやら、ヒグマみたいな貫禄もついてきてしまった私たち。(ちょっとだけ写真加工しました。)

さて、車中泊での就寝時です。

前列が、ダンナさま、中列がチャック、後部席が私のベッドで、横川の字の3列で寝ました。初日は、夫婦のイビキの応酬でした。それはまるで、リズミカルな餅つきの音のようなんです。ダンナさまの杵つきのグワーッ、すると、チャックの餅を返す合いの手の、ガヒッ、が反復する。夢のなかにいても、仲がいいふたりなんですよ。

そして夜明けまで、延々と、この餅つきは続くのでした……。

私のはじまり

古くからの、気心の知れた友と連れだっての旅は、やっぱり楽しいですよねえ。無邪気な、いい笑顔でしょ。

今回の道東の旅では、釧路、根室、斜里、知床、美幌、摩周などの、17カ所の道の駅を訪れ、スタンプを押すことができました。押したスタンプ数に応じて応募すると、抽選で特産品が当たるんですよ。

なにせ道の駅なので、観光地や風光明媚な場所にあることが多く、温泉や、それとグルメにも事欠きません。季節もよく、今回は天候にも恵まれたし、気の置けないチャック夫妻と一緒の旅は、ドタバタしていても楽しくて、いい思い出になりました。

ずっと騒ぎっ放しだったので、ちょっとだけ疲れてきたのかも。 知床・一湖にて。

この旅で、なにが一番よかったか? 深く印象に残ったところを告白すると、川湯温泉駅舎ギャラリーで開かれていた、「自由な旅人」展でしたね。

私はチャックのようにこの展覧会のこともよく知らず、会場でいきなり懐かしい写真を見て、タイムスリップしちゃいました。写真展を見て、遅ればせながらユースの歴史なんかもちゃんと分かったし。遅過ぎるかい?

じりじりとノイズの入り交じる吉田拓郎のLPを聞きながら、展示写真をじーっと見てたら、あぁ、私の原点はここにあったんだ、と、今さらながら、気づくことができたみたいです。私のはじまりは、ここにある。そして、チャックとふたりで、ここに還ってきたよ、ってね。展覧会をやってみようと思ったヒデキの心意気も、感じられたりもしました。

川湯温泉駅舎ギャラリーで開催中の「自由な旅人」展会場。 ホントは8月29日までの会期だったのに、たまたまヒデキの判断で延期されていて、これを見ることができました。

17歳の高校3年のあの夏も、チャックと一緒に野村川湯に迷い込み、たくさんの人と友達になれたし、その後も、川湯の仲間たちと遊んだり、騒いだり、お世話にもなったりしてきたことが少なからず積み重なって、今の還暦を迎えた私があるのかな、と気づいて、感慨深く思いました。

これからは、100歳に向かっての長い旅がはじまります。川湯のみんなと、また旅先で再会できることを楽しみにしています。(談)

展示されていた全盛期のユースでの写真を見てたら、すーっと吸い込まれるようでした。チャックも一緒だし、あの時代に引き戻され、今さらながらですが、私の原点がここに写っている、と興奮しました。感動です。

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