野村川湯YH 世界~ あの街ぶらぶら歩き  ナガサカ×オバケ  | 野村川湯YH 野村川湯ユースホステル

世界~ あの街ぶらぶら歩き  ナガサカ×オバケ 

連載 旅

出会った人にこそ
デュッセルドルフ/Dusseldorf(ドイツ)
ナガサカ(長坂 肇)

[旅のデータ]ドイツ連邦共和国の西端部、ライン・ルール地方の中核地としてとして栄えるデュッセルドルフは、金融や経済が発達する国際都市でもある。そのため日系企業も多く進出していて、ロン・パリに次ぐ欧州ビジネスの拠点だ。市部の人口はおよそ58万人。気候は冬期は札幌に似ていて厳しく、夏は気温は上昇しても、湿度が低いために過ごしやすい。また芸術・文化の街としてもよく知られていて、市民もKunst(Art)には理解が深く、ハイネの故郷であり、ドイツが産んだ最高の画家といわれるゲルハルト・リヒターは、デュッセルの誇りだ。都心部には、様々な個性的な現代建築も立ち並び、一方、旧市街地域やライン川沿いには中世の古城なども残され、美術館や博物館も多い。成田からは、毎日、直行便が飛んでいて、フライトは約12時間ほど。今回の旅も、このルートを使った。

 

■どいつんだ? おらんだ!

いきなり50年前のダジャレで申し訳ない。

だがこの時、ドイツとオランダが隣国同士だとはじめて知り、今回はこの題名に。

鈴木さんちのショーウインドーに気を取られつつ、早朝便でジュネーブ発。(ジュネーブ/スイス)写真はいずれも2017年

何年か前に、2度ほど訪れたドイツ、オランダ界隈。すごく良い思い出となって心の奥に沈んでいるぶらぶら歩きを、紹介しようと思う。

フェンロー駅到着。奥がオランダの鉄道で、手前がドイツからの列車。(フェンロー/オランダ)

さて前日に所用を終え、早朝、ジュネーブを発ち、空路でドイツのデュッセルドルフへ。

まず、ここからすぐ隣の、オランダの町を訪ねてみようと思った。清潔な鉄道でおよそ1~2時間。電車はいつの間にか国境を越えており、オランダのフェンロー駅に着いていた。

この日はちょうど休日で、町はとても賑わっていた。

アイリッシュ・パブ、もう、たまりません。ステーキ15ユーロ位。ビール旨い!(フェンロー/オランダ

紫外線を避けようともせず、あえて陽射しを求めて、楽しむ人々。ジャガイモのロゴマークが、「フライドポテト 美味しいよ!」と誘ってた。(フェンロー/オランダ)

サーカス小屋のような遊園地や路上のカフェ、バー。小さな地方町なので、歩き回るのにもちょうど良いスケール感だ。すぐ隣なのに、ドイツとは微妙に町の趣きが違うように感じられた。それにパブやバーなどは、アイリッシュの影響が多いようだ。人々は自分たちの時間を、気ままに、その人らしく楽しんでいるようだった。

町中には車が入って来ず、お陰で、欧州の古い映画を見ているような、ゆったりとした気分の一日が過ごせた。

カフェには、老いも若きも集って、自由に語らい、大いに笑う。様々な言語が飛び交っていた。(フェンロー/オランダ)

オランダは、自転車天国だ。ワンピースやスーツ姿で、走り回ってるお姉さんだってたくさんいるし。(フェンロー/オランダ)

さて、デュッセルドルフへと戻ろう。

メルケル首相の国、ドイツのイメージは、イカつくて、おっかない。なにもアンゲラ・メルケルさんの顔付が険しく、ごつい、といいたいのではなく、ドイツの印象が、という意味でだ。いつか、パパラッチが撮ったメルケルさんの水着姿を見たことがあるが、なかなかのもの? だったような。

古い路面電車が走る、デュッセルドルフ市街。(デュッセルドルフ/ドイツ)

それはともかく、ドイツ人は皆優しくて礼儀正しく、町も綺麗、顔もちっとも怖くなんかない。これは実際に行ってみて、人と接してみてはじめてわかることだ。しかも、ビールは多種で、どれも美味しい。

ミュンスター。本場のビール!(ミュンスター/ドイツ)

ドイツ人は決して笑わない、と思っていたが、皆、笑顔がとても素敵だった。ドイツ人はやたらにデカくて、身長は3メートル以上あるとも思っていたが、これもそうでもない。すべては僕の偏見だった。

やっぱBMWのバイク、似合うよなー! いいえ……それよりも、ジョギング娘だろう! って声が、どこからか聞こえてきそう。(ミュンスター/ドイツ)

道を尋ねようかと思っていたら、先におじさんから「どこへ行きたいんだ?」と声をかけられたのには驚いた。困っている旅人を見たら、放っておけないんだ。旅の善し悪しは、出会った人にこそある。これは、北海道以来の僕の教訓だ。

ホテルの部屋から撮影した写真……じゃあなくて、これは模型店にて。緻密なドイツの模型。ジオラマが素晴らしい。(デュッセルドルフ/ドイツ

ラバーエッチ・ビリーボーイの販売機。ホントは「愛してます」と暗闇でささやく前に、家族計画なんですがねえ。(ゾースト/ドイツ)

ドイツは国全体で、昔から、アイドリングストップや自然保護に力を入れている。それに、スクラップ&ビルド、とかいって、無駄に町を壊して開発などしようともせず、歴史を大事にして古い町並みを活かして保ち、永く大切に使っていく。そして裕福な気持ちで暮らしている、そんなふうに感じた。

空爆を免れ、大戦中から変わらないようなファサードもしっかりと残されている。建物が統一されて作られた街並みは、とても美しい。(ミュンスター/ドイツ

白いフリルブラウスにエプロンドレスのオネーさんが、ビールジョッキとソーセージを持って来てくれて。ララの唄う、リリー・マルレーンが哀しく響いてきそう。(ゾースト/ドイツ)

ぱっと見た感じは、日本のなまこ壁みたいな、ね。木軸と漆喰で仕上げられたハーフ・ティンバー様式の、典型的なドイツの民家。バーだって、しっくりと溶け込んでいて、ちっとも目立たない。きっとここでも、美味いアルトビールが飲めるに違いない。(ゾースト/ドイツ)

とても静かな宵の町。そろそろ呑みに行こうかな~♪ ……とかいいながら、もう店を探して歩きはじめてるだろう、って。今夜も、酔うぞお。(ミュンスター/ドイツ)

何が大切で、何が幸せなのか……。ゆったりとした、豊かな時の中に、そんな思いがぐるっと躰を巡った。また機会を見つけて、ぜひ訪れてみたいドイツの町だった。■

コメント

野村川湯小学校