川湯駅舎で開かれる旅の展覧会
ヒデキ(武山秀樹)
1936(昭和11)年に建てられた川湯温泉駅舎は、80年を越えて老朽化が進んでいます。とくに正面の山型ハフ(破風)の骨組みは、虫食いによる腐蝕がひどく、前から気になっていました。それが今回、骨組みを全部取り換えたので、安全面でもひと安心です。
入口のアルミ製の扉も強い風が吹くたびに、たわんで外れそうになっていて、嫌な思いをしていましたが、「ナラ材の頑丈で、誰もが開けたくなるような扉」に変わりました。80年以上、大きな改修工事もせずに、よくここまで頑張ってくれたものだと、しみじみ感じます。
木造建築は、その時々に細かいメンテナンス作業がなされないと、いつかは朽ちてしまいます。賛否はあるでしょうが、古いものを尊んで大切に使い、後世に残す寛容さも必要だと感じます。川湯温泉駅舎は、全国の木造駅舎のなかでも、トップクラスに入る人気の駅舎なのですから。今日も、みぞれ混じりの雨のなか、熱心に駅舎の写真を撮る人たちがいました。
そんな駅舎内のスペースを利用して、これまでも様々な展覧会やイベントなど開催して、好評でした。昨夏は、弟子屈町出身のアマチュア写真家「松葉末吉アンソロジー」展を開催しました。同展ではとくに「釧路湿原・阿寒・摩周シーニックバイウェイ」弟子屈町会員と、事務局の皆さんにお世話になり、実現しました。
なお、2021年度の川湯温泉駅舎ギャラリーの企画予定は、下記の通りです。あっ、あくまでも予定ですからね……。
- 「自由な旅人」展/かつて硫黄山の山麓にあった野村川湯ユースホステルの「写真文集」(2018年発行)を典拠とした写真やエッセイ、さらに駅前に存在した民宿の落書き帳など、70年~80年代の旅人たちを紹介する予定。現在、出品者や展示物の交渉中で、友野正も写真を出品します。
- 「笑顔の街」記録展/川湯駅前の若者たちが主体となって開催した「風鈴祭」の膨大に残る写真のなかから、当時の子供たちが撮ったスナップを中心にして、川湯駅前の足跡を紹介する記録展です。また今後も、弟子屈町在住の写真家作品、アーティスト作品、川湯駅前、川湯温泉駅ゆかりのイラストレーター、作家らの作品展も予定しています。
どうぞ、懐かしい駅舎を眺めながら、展覧会を見に来て下さい。私、ヒデキが、駅で皆さんを、お帰りなさーい、とお迎えします。■
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