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川湯的「人生相談」     心のラビリンス

連載 人生相談

この胸のときめきを……
相談者●Nさん 女  60歳代

 

一昨年の、川湯の写真文集の出版記念パーティで、およそ40年振りに会った男性がいました。最初、誰か分からなかったのですが、やっぱり面影が残っていて、あぁ、懐かしいなぁ、と思って、つい眺めてしまいました。

若い頃、川湯で会って、いいな、と思った一瞬があって、もちろん、そんなことは口外もせずに旅を終え、日常に戻り、そのうちに忘れて結婚し、家族を持って、今はそれなりに円満? です。

パーティ会場で久し振りに会って、ときめいた、といったら言い過ぎですけれど、あれ以後、目を閉じると、時々、その人の笑い顔がまぶたの裏に現れたりして、忘れられない。

もちろん、なにかを伝えたり、会ったりするつもりは毛頭ありませんが、この胸のときめきを、私はどう処理し鎮めたらよいのでしょうか。どうか、アドバイス下さい。

妻から、女に還ってみては
回答者●キリン(長谷川浩司)

 

年齢に関係なく、「ときめく」ことって、大切だと思いますよ。

新しいことがはじまるキッカケであり、生きる楽しみでもあり、暮らしのメリハリにだってなりますからねえ。なんにせよオレの場合、ときめくと、テンションも一気に上がっちゃいますし。

それに皆さんもご承知のように、個人的には、オレはときめきやすい体質なんですよ。とくに若い頃は、ほとんど暴走車みたいでしたし。

自分の気持ちを心の奥に秘めて、ひっそりと生きる人もいますが、オレは、検挙されてもいいから、とにかく気持ちを打ち明け、突き進むタイプでした。それでたくさんの失敗もしましたが、甘~い成功も、ぼちぼちとありましたから。

冷静に自己分析してみても、欲と本能の塊なんでね、辛抱とか我慢なんかは縁遠く、そういうものはちっとも身につかないオレにしても、しかしオヤジになると若い頃と同じようには、もう行動できませんよね。

ところで、どんな夫婦でも、ちょっとした行き違いやら、口喧嘩みたいなのって、ありますよね。というか、あって当然です。

だって、生まれも育ちも異なり、違ったルールや環境のなかで成長してきたのに、なにも起こらない方が不自然でしょう。で、我慢したりすると、かえってイヤな気持ちを引きずってしまい、精神的にはよくないとも思いますしねえ。

さて、相談者の方は、多少のことはあったとしても、基本的には夫婦円満とのこと。だったら、そのまま持続するのがいいと、オレは思いますよ。

なぜ、40年近くも会ってなかった男にときめいてしまったかというと、真相は、ときめく気持ちをたまたまパーティという特異な雰囲気のなかで、ふと、思い出しただけ、なのではないでしょうか。

だったら、若い頃みたいに、かつてのようにダンナさんにときめけばいいんですよ。

今、ダンナさんと、まあまあ幸せに暮らしていられるのは、嫌いではないからですよねえ。それを日々の暮らしのなかに埋もれて忘れてしまってるだけで、実は、キッカケさえあれば、ダンナさんに、ときめきを感じることができるんじゃないですか?

 

私事で恐縮ですが、先日、政府のGoToキャンペーンを使って、妻と大阪と神戸にふらっと行ってきました。

とくに観光とか、なにか用があったわけでもなく、そうですねえ、あえていえばオレが還暦を迎えたことがあるかも知れません。いつも旅行に行くと、ホテルは五つ星を利用していますが、今回は、とくにお得だったので、部屋もグレードの高いのにしました。もちろん、「ときめく」からです。

最近の星の数の多いホテルでは、風呂がエロい感じの仕様になってるんですよ、知ってます?……おっとっと、話があっち方向に脱線しちゃいそうで、失礼しました。

……それで食事に出掛ける折にでも、コンシェルジュに、ブーケとシャンパンを部屋に届けておいてくれるよう頼んでおくんです。花がメインで、シャンパンはそんなに高価なものでなくていいよ、とか、ひと言添えてね。もちろん、妻のためにです。

日頃は、照れ臭くて伝えられないようことも、こういう設定があると、割といいやすいものですし。

で、部屋に戻って妻が、花束に気がついたかな、と思ったら、その時を逃さずに、まぁ、ここでは概略だけを簡潔に紹介しますと、「いつも面倒臭いオレだけど、つき合ってくれてありがとう。ケンカしながらも、これからも変わらずに、ずっと仲良く過ごそうナ」とかなんとか、そんなような意味のことを、多分、いったような気がします。

普段とは違う、いつもの旅行とも異なる改まり方で、こうしてふたりのためだけの時間と空間を演出するように工夫すればいいのだと思います。つまり、ふたりの関係を、互いに再確認する機会が準備できればいいんですよ。

そして相談者の方ならば、ダンナさんに対してときめけばいいんだと思いますよ。

ここまで、ダンナさんも頑張ってくれていて、きっと現在の平穏な暮らしが成り立っていて、ふたりともに様々な経年変化を受け入れつつ、今があるような気がしますし。

今夜だけは、母や妻ではなく、女に還って、あなたの彼女なのよ、という気持ちを優先してみて、ダンナさんにときめいてみたらどうでしょうか。

そうして、いつもとは違う特別な趣向を用意し、少しだけ忘れかけている気持ちを取り戻してみたら、大切なものがなにか、きっと再確認できるのではないですか。

で、具体的になにを、どうするか、それは、ウチはウチだし、それぞれで、いいんだと思います。(談)

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