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万歳! ウチのお茶 今日のファミリー・クッキング 

連載 食

特別版
正しい「新茶」の淹れ方

 

あえて名は秘すが、ワシは皆には茶老人とか、喫茶翁と呼ばれており、鎌倉の銭洗い弁天や、最近では、目黒不動の境内で、暇さえあれば茶を飲み、暇を潰しておる。時いよいよ新茶の時節となり、あぁ、美味い茶が飲みたいよなぁ、と、つくづく思うこの頃だ。

アルコール類を別にすれば、朝の寝起きや、昼間に乾きをいやすものとして、煎茶、珈琲、紅茶、それに暑気ともなると、麦茶だろうか。もちろん、ペットボトル派もたくさんおることだろう。だが、色付き水の如きペット飲料をガブ飲みするよりもはるかに、基本に則って、正しく淹れた茶を口に含み味わうと、はぁ~美味い、滋味よのお、と、しみじみ感じられるのだ。

そこで今回は、特別版として、皆に、正しい「新茶」の淹れ方、を届けようと思う。

監修は、狭山茶の茶園、友野園の当主・友野秀一氏に御願い、その補佐役として、トモノ(友野正)にも手を煩わせたので、「正しい」とした。なお茶坊主(または茶)には、相談することもなく無断でこの記事を作っていることを承知願いたい。

監修/友野園当主・友野秀一氏。1955年生まれ。トモノの実兄。 日本茶インストラクター協会所属、全国手もみ茶振興会会員、東京狭山茶手もみ保存会会員。自家での一貫生産を行いつつ、茶の素晴らしさを情熱的に説き、講演して巡る狭山茶の伝道師。無類の話し好きで、いつも熱い。

友野園の茶畑。埼玉・狭山丘陵に東京ドーム5つ分ほどの茶畑を所有し、他園の茶葉を一切混ぜずに一貫生産を旨とし、加工・製茶・販売する。なお、今年の友野園の紅茶の出来は出色という。発酵に特段の工夫を凝らしたらしい。

さて、茶を淹れる前の、大事な要素は、もちろん茶葉と水である。

まず茶葉は、なんといっても新茶を入手するのが肝要だ。しかも茶の等級に関わらず、番茶であっても茎茶でも今の時期に収穫された、つまり一番茶葉から作られた各クラスの茶があるのだ。これを生産から製造まで一貫して携わる茶園から直接、できれば1年間に飲むであろう量を入手するのが、誠に賢い消費行動といえよう。このように新茶葉から作られた茶は、それが番茶でも、ひと味が違うことはあまり知られていない。

水は、トモノ家では、井戸水を使って淹れているという。日本の山の湧き水などで淹れても、水質と茶葉の相性にもよるが、おおむね美味に出る。外国産のミネラル水は、硬水ならば適さない。水道水を使う場合は、かならず一度沸騰させ、カルキ臭を飛ばしてから用いるのが前提だ。ここだけは、キッチリと守った方がよいだろう。

では、茶を淹れてみるとするか。

……うむぅ。美しく、澄んだ薄黄緑色をしており、なかなか爽やかな香りじゃ。新茶独特のうま味と、甘さが際立っており、ほんのわずかにある渋みが心地よく感じられ、大層、美味である。

どうだ、このまま茶を飲みながら、ここでしばし艶話でもしていかぬか?■

[ポイント]
★適温(70~80度)は、自分で何度も淹れて、感覚をつかむ。冬場なら、湯気がまっすぐ、ゆったりと上がる感じ。

★基本的には、湯温が高ければ、渋みや香りがよく出て、低いと、うま味や甘みが引き出されやすい。新茶だと、やや低めの湯温がよい。

★一般的に狭山茶は、静岡や鹿児島、京都など他産地に較べて味がよい、とされるが、昨今では、香り、色とともに三拍子揃う。深入りの焙煎で、香ばしさも特徴。

★同じ茶の樹から収穫した葉で、日本茶、ウーロン茶などの中国茶、また紅茶も作れる。

[淹れ方]
1,湯を、汲み出し碗や湯呑みなどに入れ、冷ます。湯温は70~80度前後。適温は感覚で覚える。最悪は、薬缶やポットの熱い湯をいきなり茶葉に注ぎ掛けること。1人前の茶葉は小スプーン1杯程度、約2グラム。2人分だと約3グラムでちょうどよい。

2,湯温が高いと、香りが立ち、渋みも出る。低温だと、甘みとうま味がしっかりと出る。好みにより、湯を70度前後まで冷ましてから急須に注ぎ、30秒ほど待つ。なお、急須を回したり、揺すったりする必要はなく、じっと静かに待つ。

3,人数分に応じて、数回に分け、各碗の湯量と濃さが整うように回し注ぐ。また注ぐ際には、茶葉を蒸らし過ぎないよう急須の蓋の空気穴を、指などでふさがないよう配慮する。碗の内側は、磁器などの白いものの方が、色映りがよい。

4,色や、香りを愉しみつつも、手際よく注ぐ。また2煎目の渋味が強くならないよう、1煎目は最後の1滴まで、しっかり落としておく。とくに新茶は、最後の1滴にもうま味と甘さが含まれており、苦みは少ない。美味い。

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