(4)トネリコ/
名無木物語
Fraxinus japonics
真くん(堀 真也)
♪この木なんの木、気になる木。名前も知らない木ですから……。
そうなんです。誰もこの木の名前を知らなかったのです。ですから、ついた名前が「名無木(ななしぎ)」なのです。
岐阜県指定天然記念物「名無木(ななしぎ)」 樹齢推定270年
場所:岐阜県関市東本郷(ギフのニシブオートから10分、フッコ家から15分)
それでは、名無木物語のはじまり、はじまり~。
時は江戸中期 美濃の国は度重なる干ばつの為、田畑は荒れ村人たちは困り果てておった。ここ旧武儀郡吉田村(むぎぐんきったむら・現在の関市)も同じく凶作じゃった。それでも代官による年貢の取り立ては厳しく、庄屋の大滝金右衛門も村人たちの貧しい暮らしを知るが故に辛い立場にあったのじゃ。
この大滝金右衛門は温厚な人格者であり、村人たちからの信頼も厚い名主であったそうな。
村人たちの苦労を知る金右衛門は、何度も代官に年貢を少なくするよう頼んだが一向に聞き入れてもらえん。情の厚い金右衛門は、やつれ果ててゆく村人たちを見ようともせず、尚も年貢を取り立てる代官をとうとう殺してしまったんじゃ。
理由は何であれ罪を犯した金右衛門は囚われ、磔の刑に処せられたそうじゃ。なんと悲しいことよのぅ。そして村人たちは金右衛門の亡骸を貰い受け、村の中央に埋葬し、その死を悼み弔っていったのじゃ。すると何時しか、その場所から一本の木が芽生えてきたんじゃよ。これは金右衛門の霊木に違いない、村を見守ってくださるのじゃと、村人たちは大切に守り育てたということじゃ。しかし村人の誰もこの木を見たこともなく、名前も知らなんだ。ましてや罪人である「金右衛門の木」とも言えず、いつしか名の無い木「名無木(ななしぎ)」と呼ばれるようになったとさ。おわり
これが関市に伝わる悲しい「名無木」の物語でした。
で、この木の正体は、「トネリコ」モクセイ科トネリコ属。
トネリコはさほど珍しい木ではありません。日本原産で中部地方から東北の温暖な山地に自生する樹木です。でも山の木ですから平地の吉田村(きったむら)で暮らす村人たちは見たことがなかったのですね。
それにしてもこの名無木、一般的なトネリコの樹形とは違い威圧感があり、まるで金右衛門の魂が叫んでいるかのようです。伝説と言われていますが、ホントだったりして。
老木であり、腐朽箇所の治療痕も痛ましいですが、もう大丈夫! だって来年度から私が担当しますから……枯れるかナ……。
その2
岐阜県関市非公認天然記念物「藤松の木」 樹齢推定35~36年。
場所:岐阜県関市虹ヶ丘 フッコ家
「モチノキ」モチノキ科モチノキ属
フッコの父、故・藤松氏お手植え。日本家屋にはモチノキが似合うと、ホームセンターで買ってきたらしい。ただし、フッコ家は洋風である。
それでも良かれと植えたこの木を、こともあろうにフッコは邪魔だから切りたいと言う。
この罰当たりが! せっかくお父上がせっせと植えたのに、大切にしなさい。
でも、そのうち大きくなり過ぎて、困ったちゃんになりそうな気もするが……。
おまけ
岐阜県関市未公認闇営業「ニシブオート」
場所:岐阜県関市にあると噂される
水曜休み
「名無木物語」が映画化されるなら、悪代官フッコ、金右衛門ギフで是非! 私は村人Bで。
ではまた。真。■
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