野村川湯YH 近況/遠況 | 野村川湯YH 野村川湯ユースホステル

近況/遠況

近況/遠況

今そこで、見たり、聞いたりしたことに誘われて、ずっと遠くの、忘れていた風景やら、しばらく会わない懐かしい人たちの顔が、クッキリ浮かび上がることが、時々、ありますよねえ。

それが、好ましい人たちや、愉快な、美しい情景ばかりならいいのですが、そう都合よくもなく、なかには、苦々しかったり、汗臭いものが混じってたりすることも、あったりもして。

なにかの理由や事情によって、しばらく音信の途絶えた友や、久しく声を聞いていなかった仲間たちへ、それとも、駅の改札で「行ってらっしゃい」と別れた切り会っていないあの人に、この頃のあなたの普段の様子や、最近、感じてることなど、手紙でも出すようなつもりで、それとなく知らせてみてはどうでしょう。

 

得るもの、失うもの
ケケ(井形恵子)

 

▼忘れかけていた思い出

思わぬ病にかかって以来、香り(臭い)が分からない世界に迷い込んでしまいました。自分は犬並みの嗅覚が自慢だったのに。

臭いをまったく感じないと、立体的な感覚が失われて本当につまらない。私の周りの世界は様々な香りに彩られていたのだと、改めて感じています。そうなるともう、以前の感覚が二度と戻らないのではないかと焦ります。

そして、懐かしい思い出が蘇って来ます。季節を告げる花々の香り。実家に帰った時のホッとする香り、愛猫の身体に顔を埋めると、ひなたの香りがします。南の国の空港ではココナッツオイルの香りが常にしていました。これらはとても素敵な記憶です。

 

そしてもうひとつ、アンコールワットに行った時の、香り(匂い)の話をします。

今から30年くらい前、日本が円高で元気があった頃、私もチョコチョコ海外を旅行していました。

カンボジアを旅した時、アンコールワット寺院の素晴らしさに衝撃を受けました。現地の案内人の話では、丘の上から見る夕陽に染まるアンコールワット寺院が、最高に美しいそうです。私は時間が来るのを待って、丘の頂上を目指して必死に登りました。やれ、やれ、無事到着。意外に狭い頂上でした。

アンコールワットにて。2001年

夕陽の時間には少し早く、私は近くの石の上に座りゆっくりと待つことにしました。そうしてるうちに、来るわ来るわ、噂を聞き付けた世界各国の人々。皆さん汗だくで登ってくるので、狭い頂上はなんとも言えぬ強烈な体臭で頭がクラクラして来ました。もう、耐えきれず、楽しみにしていた景色も見ずにそそくさと丘を下りました。降りる途中で象使いの少年に会いました。大きな象のすぐ脇を抜いて行くのが怖ろしかったので、ゆっくり後をついて行きました。麓に着いたらお金を請求されてビックリです。頼んだ覚えもないのに、道案内料だそうです。あの少年も今では立派な大人になっているでしょう。

ちょっとした体調の変化が、忘れかけていた記憶を連れ戻してくれました。

 

▼恩人の旅立ち

人生を語るには早いかと思いますが、好奇心旺盛の性格もあり、若い時には色々なところに出掛けていました。もちろん、良い思い出もあり、失敗したことも沢山あります。

中年にさしかかり、九州から上京して来た義両親との同居、介護もあり旅行についてはとても禁欲的な生活を送っていました。その後、猫を飼ったこともあり、泊まりはとても厳しいものがありました。そして、順番に義父、義母を見送り、ついに先月は愛猫が天に召されました。あと少しで21歳。老衰で大往生です。とうとう、心配なく旅行する自由を手に入れたのに、なにもする気になりません。夫婦して深い悲しみの淵に沈んでいます。これがペットロス? 皆様はどうやって乗り越えてきたのですか?

この猫は私と野村川湯YHの再会を結び付けてくれた大恩人(猫)です。

2年前、動物病院の待ち時間が長いのでスマホのネットを触っていたら、このホームページの存在を知ることになったのです。ついには川湯のミーティングに参加でき、こうしてお仲間に加えていただきました。改めて、生き物の縁は不思議。私もいつ天に召されるか分からないけど、精一杯生きた猫を見習って生きていきます。

おそらく、イン京都の時には元気になっていると思います。スミちゃん、ネズミちゃん、よろしくお願いします。

20歳になったお祝いで、晴れ着を着せてみました。

最後に親バカですが、可愛いかった猫の写真も添えておきます。■

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